実習は学びの機会
社会福祉士を目指す人にとって、実習は、学校で学んだことを現場で確かめる大切な機会です。一方で、実習生を受け入れる現場の立場から見ていると、「もったいないな」と感じる場面もあります。
この記事では、現場で実習生と関わるなかで感じた、実習生が気をつけたいポイントを3つ紹介します。
- メモに夢中になりすぎない
- 予習をして、少しずつ実践する
- 場面に合った自己開示をする
特定の実習生の話ではなく、あくまで一般的な傾向として書いています。実習を控えている人も、実習生を受け入れる立場の人も、参考にしてもらえればうれしいです。
ポイント1 メモに夢中になりすぎない
実習では、対象となる利用者さんの個別支援計画を作成する課題が出ることがあります。課題が気になるあまり、メモを取ることに夢中になってしまう実習生を、見かけることがあります。
メモは大切です。ただ、メモに意識が向きすぎると、目の前の利用者さんの表情や言葉、職員の動きを見逃してしまいます。実習の目的は、課題を仕上げることだけではありません。現場で与えられた役割を果たしながら、支援を体験することです。
気をつけたいこと
- 現場で与えられたこと(声かけ、見守り、活動の補助など)を、まず優先する
- メモは、キーワードだけにする。詳しい記録は、休憩や実習後の時間にまとめる
- 利用者さんの話を聞くときは、メモではなく、顔を見て聞く
- メモの取り方や持ち出し方は、実習先のルールに従う。個人が特定される情報の扱いには、特に気をつける
計画づくりの材料は、「メモの量」ではなく、「現場でどれだけ本人を見て、関われたか」で決まります。目の前の人と向き合った時間が、あとで計画を考えるときの、いちばんの手がかりになります。
ポイント2 予習をして、少しずつ実践する
実習生と関わるなかで、「予習ができていないな」と感じることがあります。学校で学んだ理論や制度は、実際の支援の場面で生きてきます。実習の前に、一度見直しておくだけでも、現場での見え方が変わります。
予習しておきたいこと
- 実習先の種別(障害福祉、高齢者福祉など)に関係する、基本的な制度や考え方
- 利用者さんの特性や、関わるときの基本的な姿勢
- バイスティックの7原則など、相談援助の基本
- 計画や記録の、基本的な書き方
バイスティックの7原則については、別の記事で、現場の場面に引き寄せて解説しています。あわせて読んでみてください。
全部やろうとしない
7原則のような理論は、実習の中で一度に全部を実践しようとしなくて大丈夫です。今日は「受容」を意識する、明日は「自己決定」を意識するというように、少しずつ試してみてください。
机上の話と違うと感じたら
実際にやってみると、学校で学んだことと現場で違うと感じることもあるはずです。そのときの原因は、場面によって違います。
- 利用者さんへのアプローチの仕方が、合っていなかった
- そもそも、理論の解釈が、間違っていた
- その人や状況に合わせた、調整が必要だった
一人で判断せず、実習担当の職員に聞きながら、実践を振り返ってみてください。「なぜ違ったのか」を考える時間が、いちばんの学びになります。
スーパービジョンで聞かれるかも
スーパービジョンでは、理論や制度について質問されることもあります。予習しておけば、慌てずに答えられます。分からなかったときも、「ここが分からなかった」と言えれば、学びにつながります。
ポイント3 場面に合った自己開示をする
自己開示とは、自分のことを相手に話すことです。距離が縮まるきっかけになる一方で、内容や場面によっては、思わぬ誤解を招くことがあります。
気をつけたい自己開示の例
たとえば、「実はここが、実習の第一希望ではなかったんですよね」と、本音を打ち明ける実習生がいます。本人は、親しみを込めて話しているのかもしれません。ただ、受け入れている現場のスタッフからすると、「それなら、ほかのところに行けばいいのに」と受け取られてしまいがちです。
実習を引き受ける側は、時間と手間をかけて、実習生を迎えています。その気持ちを、思いがけず傷つけてしまうおそれがあります。
こんな自己開示なら歓迎されやすい
- 自分の趣味や、休日の過ごし方の話(休憩時間などの、ほっとした場面で)
- 実習を通して感じたことや、自分の考えが変わったこと
- 実習の中で気づいた、自分の課題や、これから挑戦したいこと
特に、「実習を通して自分の考えがどう変わったか」は、スーパービジョンや実習日誌の振り返りでも、評価されやすい内容です。
迷ったときの目安
- 話したあとで、相手がどう感じるかを、一度想像してみる
- その話は、今の場面で必要なことかを考える
- 利用者さんに、自分の個人的なことを話す場合は、事前に実習担当の職員に相談する
本音を話すこと自体が、悪いわけではありません。どんな内容を、どの場面で、誰に話すかを選ぶことが、専門職としての大切な力につながります。
まとめ
- メモに夢中になりすぎず、現場で与えられた役割と、目の前の人に意識を向ける
- 実習前に予習をして、理論は少しずつ実践する。迷ったら、実習担当の職員に聞く
- 自己開示は、内容と場面を選ぶ。実習を通して感じたことや変化は、積極的に伝える
実習は、うまくやることより、現場で感じたことを学びに変えることが大切です。完璧を目指さず、分からないことは素直に聞いて、一つずつ吸収していってください。
これから実習に行く皆さんが、実りある時間を過ごせることを願っています。

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